歩みが守られる時
聖書 出エジプト記 22章20〜26節 | ローマの信徒への手紙 12章9〜21節
本日は平和聖日です。年間を通じて全ての教会が全ての記念日を守っているということは残念ながらありません。しかし、どの教会も自主的にこの平和聖日だけはきちんと守っているように思います。週報に「平和聖日」と掲げたり、平和の集会を持ったり、私ども東中通教会でも、8・15集会が行われます。地区社会委員会、日本キリスト教婦人矯風会、新潟YWCAの三つの団体が協力して行ってきた集会です。
今日は広島が爆心地となった日です。9日には長崎が被爆地となりました。多くの命が奪われました。地上戦で命を失った人たちもいました。アジア各地で、沖縄で、戦争が人の命を奪いました。戦争が、十戒の「愛し合うように」という掟に反し、「殺し合うように」という命令によってなされるものだと私たちは知っています。そのことを振り返るには、皆で心を合わせることが必要です。私1人の努力ということだけでは足りません。兄弟姉妹と連帯していただけますようにと願います。
関東教区には東京聖書学校があります。ホーリネスの群れの教会が祈り合って支えている神学校です。ホーリネスの群れは、教団に残った、かつてのホーリネス派の伝統にある教会です。戦後、その他のホーリネス教会は教団から離脱しました。
ホーリネスの教会の人たちは戦時中に戦ったのです。自分たちの信仰をゆるぎないものとして表明し、投獄された教師たちがいました。当時の日本基督教団の多くの教会は、このホーリネスの方たちと歩みを共にせず、宮城遥拝をし、君が代を歌うことを続ける、そういう教会でした。日本各地の教会がそうだったと聞きます。悲しいことです。そしてこのことを話す機会が少ないということが、私たちの時代の課題です(「関東教区『日本基督教団罪責告白』」を参照)。
憲兵が礼拝堂の後ろ側に立っていたら、もしかしたら私も同じことをしたかもしれません。けれども神ならぬものを神としてはならない。この掟を、私たちは捨てるわけにはいきません。なぜなら、神は私たちにイエス・キリストをお与えくださり、神と人とを愛せよ、隣人と和解せよと召し出してくださっているからです。その視点に立ち続けるなら、私たちは罪責告白をなし、隣人と共に歩む道が開かれていることを、はっきり知ることができるようになるかもしれません。
ローマの信徒への手紙12章には、印象的な聖句がいくつもあります。その一節が本日の中心聖句です。「希望を持って喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい」(12章12節)。
この箇所を与えられて、私は神学校時代のことを思い起こしました。東京神学大学に、私は6年間通いました。1年次から入学し、11名の同級生が与えられました。その内、女性が5名。さらに、その内3名は韓国からの留学生でした。先輩にも後輩にも韓国籍を持つ方がいらっしゃいます。在日の友人もいます。日本人は世界に目を向けることが少ないといわれますけど、隣国の友人たちのことを知ることから始めても良いのではと思います。
この留学生の友人の1人が、12章12節を愛称聖句としていました。大学の図書館、割合きれいな建物なのですけれども、その2階の研究室の窓の外には緑が広がっていて、いかにも武蔵野の森の中のキャンパスという風です。そこで「たゆまず祈りなさい」との聖句をきれいに紹介していて、はっとさせられました。
他に、自分は次の聖句が好きだ、と紹介した同級生がいました。「光の武具を身につけなさい」。ローマ書13章12節です。その男子学生は、気になっていたことがある、質問して良いかと尋ねました。「女性はこの話を聞いてどんな気持ちになるのか」と。自分は心が奮い立たせられる気持ちになる、けれども女性は武具を身につけることはあまりないだろうから共感できるのだろうか、と。ちょっと私びっくりしました。そうしましたら、先ほどローマ書の聖句を紹介した留学生が、「私は、わかります」と、さらっと答えたのです。
その方は、いつも「たゆまず祈りなさい」という言葉を思い起こし、祈っていました。それこそが、光の武具を身につけるということ。そのように共感していたのではなかったでしょうか。たゆまず祈ること、信仰と愛と希望によって、私たちが身を守ること。互いを受け入れ、互いを助け、互いを尊敬し、愛する、そのようにして仕え合うことこそ、神に仕えることであり、信仰を保つことだと、どこかで教えられていたのではないでしょうか。
私たちが光の武具を身につけ、それぞれに祈り合うことができますように。その先に私たちの罪の告白、そして神に対する信仰告白がありますように。
(聖霊降臨節第11主日礼拝 8月6日 片岡宝子牧師)
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