母の願い
聖書 創世記 25章29〜34節 マタイによる福音書20章20〜28節
新しくお二人の長老任職式が行われました。一度任職を受けた長老は任職式を繰り返しません。なぜか。神による任職だからです。東中通教会は、長老制の教会として、多くの長老たちの祈りと働きにより今日まで歩み続けて来ました。長老には教会にふさわしい秩序を守る務めが与えられています。
私たちは長老制とか秩序と聞くと窮屈な印象を受けてしまいます。けれども教会が生き生きと働くために、むしろ制度や秩序があるのです。神を神とする礼拝を整えるためだからです。教会はキリストの体にたとえられます。体は多くの組織で成り立っていて一つの体です。目は手に向かってお前はいらないとは言えない。頭は足に向かってお前はいらないとは言えない。それぞれが互いに労り合う秩序が神さまから与えられました。主イエスは教えます。
「偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、皆の僕になりなさい。」
偉大さとトップであることが皆に仕える謙虚さと一つになる。それが教会の秩序です。サーバント・リーダーという言葉の通り、長老も牧師もこの務めを担います。最も低くされる。教会員一人ひとりもそうです。ふんぞりかえるなんてことは教会ではしない。長老、牧師を支えます。そういう秩序が働くところ、これが東中通教会に主イエスから命じられています。
対する世の中は、そうなっていません。支配者たち、偉い人たちが権力を奮っています。教会は、そういう世に真っ向から立ち向かう。
この主イエスの発言は、ヤコブとヨハネの兄弟、ゼベダイの息子たちの母親が願ったことから引き起こされました。後から思えば、なんと愚かなお願いをしてしまったのだろう。そう思っていたかもしれませんが、この発言があったからこそ、教会の目指すところが鮮明になったのです。
イエスさま、御国の王座に着かれる時に自分の息子たちをそばにおいて欲しい。なんとか立派になって欲しい。母親らしい願いです。私たちも自分の母親を思い出さずにはいられない。母は自分のことより、息子、娘のことが気がかりです。立派になって欲しいと願う。主イエスは、母の願いに真剣なものをみたのでしょう。否定はなさらなかった。何を願っているかよくわかっていないと言われただけです。ある意味で、この母親の願いは叶えられたと言えます。
マタイ福音書の終わりに、この母親は再び登場します。主イエスが十字架で死なれるところです。主は壮絶な死を遂げました。
「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか。」
男の弟子たちは逃げてしまった。ですが、ガリラヤから主イエスに従ってお世話をしていた婦人たちは見守っていました。その中にゼベダイの子らの母もいた。
あの日、主イエスに願ったことを思い起こしながら、十字架の死に至るまで従っていたのでした。主イエスの母マリアと、いつも一緒に横に並んで歩いていたかもしれない。マリアと苦しみも分かち合った。そうして十字架の死を見たのでした。その後、この兄弟の兄ヤコブもヘロデ王に剣で殺されます。弟ヨハネのその後はわかりませんが、キリスト者迫害の時代にあって、受難の道を歩みました。教会は、こうした初代教会の人々の血が流されているところに立っています。ここに主イエスが開いてくださった道があります。
「しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。」
ここは、偉大で一番であることと低くされることが一致する神の秩序が働く場所です。世の数多ある組織は、まだ手に入れられていないところ。だからこそ、私たちの魂はここで癒されます。神さまのご支配が働くからです。もちろん教会もまた完全ではありえない。私たちも簡単に足を踏み外します。
しかし、主イエスはあなたがたにはできないとは言わないんです。わたしが飲もうとしている杯を飲むことができる か。二人ができますと言うと、主イエスは、確かにあなたがたは杯を飲むことになると言われました。なぜなら、御子は父なる神に委ねているからです。
杯を飲むことは死んで終わるのではなく、三日目に復活するということ。これが主の受難予告です。十字架の死を迎えて、そこで神に引き渡され、復活させられるのです。神の勝利があるのです。ゼベダイの息子たちの母も、主イエスが神に引き渡され、復活されることを信じ目撃しました。ですから私は思います。この母の願いは愚かなものではなかった。神のご支配のあること、神の勝利があるところ、そこに息子たちも入れさせてください。そう願って受け入れられたのでした。
(受難節第5主日礼拝 4月6日 牧師 片岡賢蔵)
投稿者プロフィール

最新の投稿
礼拝説教2026年1月29日迷子は誰?
礼拝説教2026年1月29日グッドニュースをあなたへ
礼拝説教2026年1月28日嬉しい挨拶、マリアの喜び
イベント2025年11月21日12月21日(日)クリスマス礼拝&24日(水)聖夜賛美礼拝のお知らせ

